連載 TJAR2016 「5日目」 ~8月11日~ その2


 8月11日 
 16:25 北荒川岳

 安倍荒倉岳から新蛇抜山、北荒川岳と思いのほかサクサクと進めた。前回は雨で景色なんかなかったが、北荒川岳に着くと崩壊地を右手に見ながら塩見岳の巨大な姿が見えて感動する。雨だとドロドロになるような登山道を進みながら前回の思い出話を米田選手、柏木選手と3人でする。雨が横殴りで半泣きだったなーとみんなで笑った。今の状態とは正反対だ。

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 崩壊地の先にそびえる塩見岳。まだ結構あるな~。

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 歩いて来た仙丈ケ岳方面。今日はよくこんな遠くまで来たもんだ。

 いよいよ塩見岳への登りにさしかかる。と、田中正人さんがカメラを抱えて撮影に来た。日没前に登頂出来るか微妙な時間だ。風が冷たいのでウィンドシェルを着る。この日没間際の時間が一番緊張する。暗くなると行動スピードも落ちるし、危険も増してくる。何より夜間行動は眠気も出て来て効率がすこぶる悪い。同じ夜間行動でも、夜に向かうのと夜から朝に向かうのでは全く違う。朝に向かう夜間行動は希望も持てるし時間の余裕もあるので気分も上がる。しかし夜に向かうのは前述の通りになるので、それまでに目的地に到着出来るかが、僕の様な完走目標の選手には非常に大きなポイントとなる。

 シェルを着こんでいよいよ塩見岳へ。田中正人さんはずっと僕らに先行して撮影。やっぱりすげぇわこの人。と、何となくエネルギーが切れる嫌な感じがすると思ったら案の定エネルギー切れ。突如2人に付いて行けなくなる。少し遅れ気味なのをバッチリ撮影されてしまう。カッコ悪いなぁ~。速効性の行動食を食べて何とか復活して山頂へ。

 17:50
 塩見岳山頂
 
 日没前に登頂出来た。3人で写真を撮る。さあ三伏峠まで急ごう。ここからは前回脚の痛みで苦しんだガレた下り。今回は余裕を持って下る。塩見小屋は時間切れなのでスルー。ここから三伏峠までは行動時間で3時間。夜間行動になってしまうが今日最後の3時間を頑張るしかない。まずは本谷山への登りを頑張るが途中で日没ヘッドライトオン。樹林帯の夜間行動にはSILVAトレイルランナー2の光が良く対応して見やすい。本谷山へは2時間程かかった。一度下って登り返す。この登り返しが堪えた…。眠気も出て来てキツイ登り。ピークではトレラン雑誌の方が待っていてくれて撮影してくれた。ありがとうございます。少し下ればようやく三伏峠だ。

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  今回は3人で登頂。まだ少し元気。

 20:30
 三伏峠小屋
 
 チェックポイントの三伏峠小屋到着。スタッフにチェックを受ける。柏木選手は水が少ないというので、米田選手と汲みにいった。isekiさんがこんなところまで応援に来てくれていた。嬉しい。スタッフから望月選手はゴール間近だと聞いてびっくりするというより呆れに近い感情…。
 山の日の祝日という事でテン場はビッシリ埋まっていた。先に張ってあるストックシェルターは佐幸選手と松浦選手かな?起こしてやろうかと思ったがそんな元気も無くスペースを探す。しかし空きなんてあるわけなく、仕方なく近くの樹林帯にそれっぽい場所を探すが、疲労、眠気、空腹感、寒さ…。色々一気に襲って来て頭が回らない。フラフラとテン場スペースを探している姿をずっとカメラに撮影されていた。こんなシーンはテレビ的に美味しいんだろうな~なんて思うがもう限界。適当なスペースにシェルターを貼って菓子パンを食べる。今日はとても疲れた…下がごつごつしていて背中が痛いがもうそんな事まで構っていられない。明日は1時起きで2時スタートだ。少しでも休みたい…。長い1日が終わった。

 つづく
 日々練成
[ 2016/08/26 06:50 ] 2016TJAR | TB(0) | CM(0)

連載 TJAR2016 「5日目」 ~8月11日~ その1


 8月11日
 2:00 市野瀬 入野屋

 柏木選手は一足先に出発。僕も準備して出発。思いのほか長い事滞在してしまった。しかしまだ完走ラインへの時間は十分あるし、何よりしっかりリフレッシュ出来たのが大きい。ここから南アルプスへ入る。長く長大な仙塩尾根が今回のポイントの一つだと感じていた。ここをどれだけ疲労感無くクリア出来るか。その前に何度登ったか分からない地蔵尾根が待っている。家族やスタッフの声援を受けてスタート。

 2:45 柏木集落 登山口

 ロードが思ったより長くきつかった…。気温と湿度が高くて汗が出てくる。登山口で水を補給して初めて夜の地蔵尾根へ。夜はなおさら鬱蒼とした雰囲気でなえる…。しばらく登ると前方にライトが見えた。柏木選手だろうか。と、車のライトが並走している林道を登って来る。こんな時間にここに来る車なんてあるのか?ビビってライトを消して息をひそめた。車はそのまま林道を上がっていく。しばらくして僕も歩きだす。林道交差地点で柏木選手に追い付いた。お腹がイマイチらしい。しばらく二人で進む。

 空が白んでくるといよいよ夜明け間近だ。4時頃にさっきの車で来たという登山者に会う。1800m付近まで車で来れるらしい。林道通った方が絶対楽だわと思った。急登を登り松峰小屋付近。ここから登りがきつくなる。一度ザックを下ろして小休止。行動食を食べてエネルギーを入れる。実はジェル以外の行動食をデポに入れ忘れてしまったのを駒ヶ根で気がついていた。なので駒ヶ根のコンビニでカロリーの高いスゥィーツ系のケーキをがっさり購入して持ちこんでいた。重量は重くなるが仕方ない。
 稜線へ出ると素晴らしい景色が広がっていた。先ほどの登山者の方と記念撮影。岩が多くなるといよいよ山頂も近い。一度仙丈小屋へ降りる。
 
 7:50 仙丈小屋
 先に着いた柏木選手がカレーを食べていた。やっと食べられる仙丈小屋カレー。僕は食べつくすような事はしませんよ?念願のカレーをお腹いっぱいいただいた。と、米田選手と桑山選手も追い付いてきた。僕はぶつけた左小指の血マメが痛いので処理する。
 柏木選手に続いて僕も出発。8:30、仙丈ケ岳に登頂。登山者から応援をしていただく。さあここから長大な仙塩尾根が始まる。まずは野呂川越へ…。

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 仙丈カレーを食らう(TJAR2016でカレーは二回目)

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 柏木選手も満足

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 これから進む長大な仙塩尾根。先が見えねーよ!

 何度も通った仙塩尾根をブツブツ歌いながら進む。高曇りで日差しはそれほど強くない。思いのほか早く、11:30野呂川越を通過。ここからはいよいよ三峰岳への登り。二回目だが前回は夜間で雨というシチュエーションであまり記憶にない。先行していた吉藤選手に追い付く。米田選手と前後しながら進む。途中沢山の応援をいただいた。

 13:30 三峰岳
 江口選手が後から手を振っているのが見える。ようやくといった感じで何故か妙に疲れた。熊の平へはあまりスピードが出ずに進む。14時過ぎに熊の平到着。柏木選手と米田選手がカレーを食べていた。僕は何故かカレーに食指が動かずパンを食べる。後から来た吉藤選手はうどんを食べていた。と、ここで大西さんが登場!軽快なノリで場の雰囲気が一気に上がる。写真を撮ってもらいしばし談笑。と、ここで僕は残り時間の違和感に気がつく。あれ、前回の富士見峠18時からマイナス10時間がボーダーと思っていたが、この時間に熊の平という事は何か計算間違いをしている?ざっくり計算してもかなり余裕がある時間だ。何度か計算するがイマイチ確信が持てないので大西さんにも聞いてみる。と、間違いなくかなり余裕を持ったスケジュールだ。大西さんにはそんな時間調整なんかしてバチがあたるぞ!と突っ込まれた。かなり余裕があるという事で少し気分が軽くなる。NHKのクルーにも沢山撮影されてインタビューされた。

 ボチボチ出発。今日の目的地は三伏峠だ。その前には塩見岳がそびえている。ダメージなくこれを越えたいところだ。出来れば日没直後くらいに三伏峠に着きたいところだが厳しいかな…。

 その2へ続く
 日々練成

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 鉄人大西さん。明るいのはヘッドだけではありません。

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 うどんを食べる吉藤選手。食べっぷりがまだまだだ!


 
[ 2016/08/25 20:25 ] 特別企画 | TB(0) | CM(0)

コメントありがとうございます。


 TJAR2016前、後にいただいたコメントに返信させていただきました。遅くなってしまって申し訳ありません。いつもコメントありがとうございます。とても励みになっています。これからもよろしくお願いします。

 日々練成
[ 2016/08/25 17:02 ] 2016TJAR | TB(0) | CM(0)

連載 TJAR2016 「4日目」 ~8月10日~ その2


 8月10日
 11:40 菅ノ台バスセンター前

 下界は暑い…。それが素直な感想だった。菅ノ台近くには米田選手のご両親が熱烈に応援に駆けつけてくれた。柏木選手のご家族も来ている。キムラさんが待っていてくれて写真をたくさん撮ってくれた。ありがとうございます。さとみんも車で撮影中。ホント行動力パないの!
 さあ何を食べようかと米田選手、柏木選手と相談しながら街へ下る。ずっとNHKのカメラが追いかけて撮影していた。最初は米田選手のリクエストで駒ヶ根ソースかつ丼にしようかと思っていたが、あまりの行列にパスパスパス。結局安定のすき屋に決定。途中美味しそうなソフトクリームを売っているのを柏木選手が発見し3人迷わず購入。非現実的とも言える美味しさに溶けそうになる…。もちろんカメラに撮影された。ゆるゆる歩いてすき屋へ。途中江口選手もダッシュで追い付いてきた。NHKのクルーから何を食べますかと聞かれたが正直何が食べたいか分からないので「一番高い物食べます!」と答えておいた。

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 米田選手のご両親は熱烈なTJARファン!応援ありがとうございます!

 店内に入ってそれぞれ特盛りやセットを注文。僕はおろし豚丼特盛り。久しぶりの下界食に猛烈な勢いで身体が反応する。吸い込むように胃袋に入れていった。人心地ついてさあここから市野瀬まで以外に長いロード。標高差もある中沢峠を越えなければならない。それぞれのタイミングでコンビニ等へ寄って市野瀬を目指す。

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 すき屋ガッツリ4連発。すき屋さん、ポスターに使いませんか?

 最初は下りなので快調に走る。天竜川を渡ったところで家族が応援に来てくれていた。今回はまだまだ元気なので余裕で対応出来て良かった。市野瀬で待っているよと言われる。天竜川を越えると地味に傾斜が出てくる。学校前では熱烈な応援を受けてありがとうございます。しかし暑さや傾斜をものともせず走れるのは流石米パワーか。日本人お米を食べないとだめですね。米パワーすげーと独り言を言いながら走っていると米田選手が自販機で飲み物を買っていた。僕も寄ってスポーツドリンクを買って飲む。と、この飲み物が全く合わなかったようで、飲んだ直後から胃の調子が悪くなり全く走れなくなってしまった。

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 応援に来てくれた家族と

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 F沢さん撮影。熱烈な応援を受ける。ありがとうございます。

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 F沢さん撮影。この頃はまだ快調に走れたようだ。

 どうにかおさめようとするが胃が気持ち悪くて全く力が入らない。これはリバースもしょうがないなと考え、車が来ないタイミングを計るが応援の車が沢山通りそれどころではない。途中TJARの書籍を持って応援してくださる方がいたので一緒に記念撮影する。
 その後も吐くタイミングを見計らいヘロヘロ歩く。と、嘔気が来たのでこのタイミングと思い側溝にリバース。自分でもびっくりの3連続リバースで豚丼は全て自然に還って行った。吐いてしまえば再び復調して走れるようになった。気を取り直して中沢峠へ。途中吉藤選手に追い付いた。シューズが上高地で壊れてしまい、尚且つ胃腸の調子がイマイチでペースが上がらないらしい。米田選手と吉藤選手と付かず離れずで中沢峠へ。

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 TJARファンの方と記念撮影

 16:40
 中沢峠
 ここからは下りなので足を使い過ぎないように走る。選考会でも通った道のり。もうすぐで自販機だと思ったが疲れた身体には思いのほか遠かった…。
 F沢さんが前回に引き続き撮影してくれていた。良い写真をいつもありがとうございます。自販機でコーラをダブル補給して市野瀬を目指す。もう少しだ。

 
 17:25
 市野瀬
 予定通りの時間に到着。今回はお風呂も入れそうだ。家族やさとみんも先に到着して迎えてくれた。CPでチェックを受ける。委員長や武田さん、畑中兄貴とも久しぶりに会う。デポを解いて、とりあえず乾かすものを広げる。交換品や補充品が沢山あるがとりあえず風呂!と、NHKのカメラに入浴シーンを撮らせてくれと言われてビビる。マジかよ全国デビューですか。断る理由もないので快諾。しかしすぐ終わるかと思いきや、風呂に向かう場面から入浴中ずっと撮影されてしまった。恥ずかしいとか通り越してしまう感情になる。風呂では身体を洗って脚をアイシング。浴槽に入ると熱を持ってしまうのでシャワーだけだ。脱衣場で体重を計ると5kgも痩せていてびっくり。これは水分が足りな過ぎる。このままではむくみが発生してくるだろう。あわてて自販機でスポーツドリンク2本一気飲み。するっと入ってびびった。飲んでいたつもりだったが相当足りなかったようだ。

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 F沢さん撮影 市野瀬に到着し、身支度を解く。

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 家族と対話シーンをNHKが撮影中

 なかなか準備が進まないがどうにか終わらせるともう20時近かった。桑山選手も到着していた。家族の差し入れを食べて携帯を充電。さあそろそろ寝ますか。2時スタートのつもりでヴィヴィに入ると、男澤選手が到着した。かなり疲れているようだ。その後恵川選手や栗原選手も無事到着したようだ。と、いつのまにか寝ていた。

 つづく
 日々練成


 
[ 2016/08/24 20:29 ] 2016TJAR | TB(0) | CM(1)

連載 TJAR2016 「4日目」 ~8月10日~ その1


 8月10日
 目を覚ますと1時前だった。少しヴィヴィ内でゴソゴソしているとヘッドライトの気配。柏木選手も起きているようだ。2時頃に柏木選手と江口選手は先に出発していった。2時前に僕も出発する。と、米田選手と桑山選手がいた。昨日は七合目あたりでビバークして0時に出発してきたようだ。風が冷たく寒いので初めて上下雨具を着た。

 宝剣山荘が有人CPなので山荘に寄ると男澤選手も到着していた。昨日から殆ど寝ずに進んできたらしい。山荘ではmaruiさんと奥さんも待機してくれていた。チェックを受けて先へ進む。宝剣岳は暗いと高度感もわからずあっというまに通過。相変わらず風は冷たい。檜尾岳手前で夜明けを迎えた。と、ガスが晴れて素晴らしい景色が見える。江口選手に追い付き前後しながら進む。多くの登山者の方に応援を受けて進む。東川岳手前では手製の応援ボードまで用意していただいてとても嬉しかった。

 7:20
 木曽殿山荘到着。ご主人は2週間前に来たのを覚えていてくれ、歓迎してくれた。とても良くしてもらって感謝です。軽く朝食を食べて足裏ケア。プロテクトJ1のおかげでノートラブルだ。ご主人と奥さんに見送られて空木岳へ。山頂では江口選手の同僚の方が待っていて応援してくれた。
 駒峰ヒュッテでは北アルプスでお会いした登山者の方ともう一度お会いしてびっくり。応援ありがとうございます。駒石近くで石川県からきてくれたという応援者の方が熱烈に応援してくれた。実はMH.TRCメンバーの知り合いの方で、大会中の栄養等についてアドバイスもくれていた方だった。応援ありがとうございます!
 
 長い池山尾根も午前中なら余裕を持って進める。トレランに方に応援をもらいながら一気に菅の台バスセンターまで下った。

 つづく

 日々練成

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 ガスの中宝剣岳付近を進む桑山選手

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 陽が昇ると見事な雲海。南アルプス方面。

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 御嶽山と江口選手

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 盛大な応援を受ける。バックは空木岳

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 木曽殿山荘ではとても良くしていただいた。プロテクトJ1で足裏ケア。

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 空木岳山頂で江口選手の同僚の方が待っていてくれた。

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 駒峰ヒュッテ方面

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 わざわざ石川から来てくれた登山者の方と記念撮影!ビタミンBとってます!
[ 2016/08/23 23:19 ] 2016TJAR | TB(0) | CM(0)