連載 TJAR2016 「6日目」 8月12日 (5日+1:00~) その1


 8月11日 1:00

 ガバッと目覚める。ヤバイ寝過したか?!時計を見ると1時過ぎ。アラームは気がつかなかったようだ。寝過してない事に安堵してもぞもぞヴィヴィから這い出る。シェルターは結露も夜露もゼロで大会中一番快適なビバークだったかもしれない。何か皮肉だなw
 ザックからケーキパンを取り出す。実は駒ヶ根に降りた時から感じていたが、口の中、特に舌に口内炎が乱発してめっちゃ痛い。唇から舌が何を食べても染みて激痛がはしる。胃が荒れているのか口内環境の悪化か、すき屋では皆一様に舌がしびれて痛いといっていた。暑い日が続くと何か影響があるのかな?という事で今回一番の痛みは口内炎だ。歩くのに支障はなくても食べる時に重大な支障があるので、特に租借する物はつらかった。
 痛む舌と唇にうめきながらケーキパンを飲みこむ。ほんとならご褒美レベルのガトーショコラなのに、今はバツゲームだ。ケーキ二つと水を飲み朝食完了。二つで800kcalという恐ろしさよ。普段なら絶対食べない高カロリーだ。

 結露も夜露もゼロなのでスルスル撤収。足のむくみもそれほどなく、シューズはするっと入った。ちょっと寒いが動いていれば大丈夫だろう。撤収完了して1:50分。トボトボ三伏小屋CPに歩いて行くと米田選手のザックが道端に置いてある。トイレでも行ったのかと思いCPへ。出発のチェックを受ける。応援を受けてボチボチ出発。米田選手も合流した。水場方面の分岐へ歩いて行くと柏木選手も撤収完了していた。ここで柏木選手が、昨夜の水汲みで起こった事件をボソボソと話てくれた。

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 三伏峠CP出発の時。フェイスブックよりお借りしました。

 昨日の20:30頃到着した後、柏木選手は水が少ないので少し下った水場に米田選手と行った。しかし水場に近づくと誰もいないはずなのにラジオの音が遠くから聞こえてくる…。こんな山奥に?こんな時間に?誰が?灯り一つ見えない南アルプスの深部。とても人の気配はしないのに水場近くから聞こえてくるラジオの音…。最初は幻聴かと思ったが、米田選手も聞いているので幻聴ではない。しかし水がないとどうしようもないので水場に近づいていくがラジオの音は相変わらず聞こえている…。怖くてとても近づけず、水は汲まずに帰ってきたらしい。その後どうしても水が必要な柏木選手は一人で水を汲みに行き、どこから聞こえてくるかわからないラジオの音に怯えながら何とか水を汲んで戻ったのだとか。

 そんな話を聞いてしまってはとても水汲みに行けない。今度は3人で行こうと水場へ下っていく。と、僕にも聞こえた。ラジオの音…。どこのサイレントヒルだよと突っ込みながらも確かにこれは怖すぎる。まだ周りは真っ暗だ。そんな中聞こえてくるラジオの音…。超ビビりながら水場へ近づくと、崩壊しかけた小屋の脇にホースから水が出ていた。ラジオの音は近い。3人でビビりながら小屋を探すと、天井裏に古いラジオが取り付けられており、そこから放送が流れていた。「コイツか…」ぼそりと柏木選手がつぶやく。しかしふと気がついた。動力は?電池で動いているわけはない……。再び背筋を冷たいものが走り、水を汲んだら走るように撤退した。

 分岐まで戻ってようやく一安心。3時前に気を取り直して荒川岳方面へ3人で進んでいく。米田選手は朝食を食べるというので2人で先へ。途中僕も行動食を取り出し柏木選手と離れてそれぞれ進む。小河内岳を過ぎると夜明けだ。富士山と雲海が美しい。今日も晴天でありがとうございます。板屋岳を過ぎすっかり明るくなった。追い付いてきた米田選手と一緒に進む。
 高山裏避難小屋手前では、前回ビバークした場所を一発で特定した。ああ、あの時は眠気で全く分からなかったが、こんな場所だったのね。米田選手も同じ感想だったようだ。

 少し進んで高山裏避難小屋。ご主人は無線機で朝の定時交信中だった。ベンチをお借りして足裏ケア。交信を終えたご主人に挨拶。TJARの選手だと気がつくと色々話してくれた。望月選手に会えたのがとても嬉しかったらしい。ここで米田選手がオレンジジュースを購入。残り1本だなとご主人、追い付いてきた柏木選手もオレンジジュースを注文。ご主人はこれで売り切れだ!と言っていた。が、柏木選手は1万円札しかないという、釣銭に苦労するのでご主人は「じゃー売らない!」とジュースを売ってくれなかった!呆然と立ち尽くし「マジか…」とつぶやく柏木選手。悪いが僕と米田選手は笑ってしまった。米田選手いわく「山での1万円札はウェットティッシュより価値がない」との事。これは名言出たわ。

 僕は足裏ケアに少し時間がかかるので2人に先へ行ってもらった。ご主人にお礼を言って出発。ここから荒川岳へのキツイ登りだ。前回は真っ暗で見えなかったが、今回はそびえる壁のような登りを黙々とこなしていく。稜線へ出れば下って荒川l小屋でご飯が食べられる。脚にイマイチ力が入らない。やはり行動食ばかりだから力が出ないのか。まあここは無理をするところではないし、ボチボチと進む。急登を登り切り、稜線へ。稜線手前は崩落地となっていて危険個所だ。前回は暗闇で見えず結構危なかった。

 8:30
 荒川前岳に到着。南アルプスの大展望に感動だ。遥か彼方に歩いてきた道のりが。南アルプスは大きい。これから進む赤石岳の姿も目前に広がっている。ひとしきり景色を堪能して荒川小屋へ下る。前回は脚の痛みで苦労したが、今回はなんのトラブルもなく降りていく。

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 雲海に浮かぶ富士山

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 荒川中岳と南アルプスの山々

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 これから向かう南アルプス後半の赤石岳

 9:10
 荒川小屋

 小屋に到着するとなんとMH.TRCの上田君夫妻が待っていてくれた!手製の応援幕まで!これは嬉し過ぎる。思わずウルっときてしまった。がっしり握手にハグ。ほんとにありがとう。とりあえず食事と思い小屋へ。西川君がスタッフとして迎えてくれた。選考会以来の再会に嬉しくなる。ご主人に挨拶して荒川丼大盛りとラーメンを注文した。柏木選手と米田選手はすでに食事中。遅れて江口選手も到着した。
 実は仙丈小屋以来まともな食事を食べていない。なのでずっとエネルギーが切れ気味で力が入らなかった。行動食だけでは限界がある。ようやくここで食事が出来るので、一度リセットしてやり直すつもりでいた。なので入念に足裏ケアや身体のチェック、パッキングを行った。2人は先へ行ってもらう。追加で大判焼きも食べる。胃腸の調子は大丈夫だ。先に降りるという上田君夫妻に挨拶。ありがとう、大浜で会おう!
 応援にきてくれた野間さんとも記念撮影。さあ出発するかというところで、なんと福井さん登場!マジか!颯爽と現れる福井さんに思わずグッとくる。力強い握手は相変わらずだった。ありがとうございます!
 
 沢山の応援と食事のエネルギーを入れて準備万端。これから南アルプス後半の勝負ポイントへ出発だ。

 その2へ続く。
 日々練成

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 手製の応援幕を持って応援にきてくれた上田君夫妻!いつもありがとう!

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 感動のハグ

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 奥さんもいつもありがとうございます。

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 荒川小屋の食事は美味しい!久しぶりの食事でエネルギーMAXだ。


 
 
 
[ 2016/08/27 19:02 ] 2016TJAR | TB(0) | CM(0)

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