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発熱系素材の話


 ユニクロのヒートテックが登山に向かない理由は色々なところで語られている。では登山メーカー等でもよくある発熱系素材はどうなのだろうか。
 羊毛、いわゆるウールは濡れても冷たさを感じにくいのはその繊維の構造にある。登山にウールが向いているのは汗等の水分でウェアが濡れてしまっても、ウールなら綿や化繊より体温を奪われにくく、防臭効果もあるという点だ。これは今も昔も変わることないウールの良さとして使われ続けている。しかしウールは素材として実はそれほど暖かいというわけではない。暖かさの原理がデッドエアを溜めること、自分の体温で暖められた空気をいかに生地の中に溜めておけるかという事になると、ウールは他の繊維にやや劣る(もちろん編みや構造によって変化するけど)
 
 そこでじゃあ一番暖かい素材(製品でなく素材ね)はなに?という話になってくると話題になるのが、冒頭の発熱系素材だ。正確には吸湿発熱繊維というらしい。
 難しい化学の話は省くが、こういった繊維は水分を含む(吸湿)すると発熱する。それが暖かさになるのだが、これだけを聞くと汗をかけばかくほど暖かくなりそうだが実際は違う。発熱系素材の広告にはあたかも人の肌から発せられる水蒸気で発熱してそれが持続するようなイメージが書かれているが、実際に繊維が発熱をするのはその繊維が水分飽和状態になるまでであって、汗をかくなら最初の数分から十数分でその機能は失われる。あとはただの水分を含んだ布になり、汗冷えや不快感に繋がっていくだけだ。

 普段家で使うなら服が濡れるほど汗はかいたりしないし、吸湿したあとは体温で乾燥もされるので発熱のサイクルは比較的長くなる。なので暖かく感じる。しかし登山やスポーツにおいては汗をかくことが前提だし、もし汗や他の水分で濡れてしまってもそのあとに汗冷えしないような機能が必要だ。登山、スポーツでの発熱系素材は最初の数分は暖かいかもしれないが、その後に必要な機能がない。これでは登山に向いているとは到言えないと思う。

 大型スポーツ量販店や、作業着系のオリジナルメーカーでもこういった発熱系素材をウリにしたウェアをよく見かけるが、あくまで日常使いの範囲で機能するのであって、ウェアを自分を守る道具として考える登山では選択肢に入れるべきではないと思う。

 ウールにも長所短所があるし、最新の化繊にも長所短所がある。どれが最高ではなく、天気とシチュエーション、季節と山域、自身の経験や体力によって使い分けるのが良いと思う。発熱系素材はまあ、通勤通学で使うぐらいにしとくのがいいかと…。

 日々練成
[ 2018/12/08 06:50 ] 道具 | TB(0) | CM(0)

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