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TJAR2014記録 7日目 その2 (16日)

 百閒洞から少し斜面をトラバース気味に高度を上げる。中盛丸山への登りでなんと前大会3位の小野さんが!ランシャツランパンの超軽装でさすがです。ここはトレーニングコースだとうので驚きだ。応援をいただく、ありがとうございます。中盛丸山から少しだけ高度を落とすと小兎岳。

 小さなピークを超えるとガスの向こうに巨大な三角形のシルエットが!「でかい、あれが聖岳ですか?」と思わず声に出すと柏木選手がゆっくり振り返ってボソリとつぶやいた 「うさぎ・・・」
 半笑も引きつりながら兎岳への登りを進む。脚のダメージがこの頃から本格的に厳しくなっていた。登りは大丈夫だが下りは強烈な痛みでストック無しでは相当厳しい。それでも登りだけは頑張れる、まだまだいける。足のマメと靴擦れも徐々に痛みが増してきた。大丈夫気にしなければどうという事はない。兎岳の山頂標柱を通過して少しくだれば鞍部へ。ここからいよいよラスボス聖岳へアタックだ。

 時折晴れるガスの隙間から右手に聖岳の大崩壊地が大迫力だ。赤色チャート盤岩の露出がいかにもラスボス的で威圧感すら感じる。急登を負けじと登る。ふと傾斜が緩くなったと思うと少し広くなった場所に方位盤が。隣りを見ると山頂標柱が立っている。聖岳山頂だ。3人で写真を撮る。思えば山頂で写真を撮ったのは空木岳と聖岳だけだった。
 
 15:20
 聖岳
 さあラスボス登頂完了。時間もないので先を急ぐ。砂礫の激下りは本当にきつかった。両大腿の激痛に耐えかねてロキソニンを投入。効いてくれればいいが。山頂直下でガスが晴れて聖岳山頂が顔を出してくれた。何となく僕達を見送ってくれているような気がした。また来るよ。
 降り始めて間もなく、今まで止んでいた雨が降り出した。かなりの勢いで降ってくる、あっという間に土砂降りとなって乾き始めたシューズもずぶ濡れになった。足の状態が更に悪化する・・・。

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聖岳山頂にて。(米田選手提供)

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最後にその姿を見せて見送ってくれた聖岳。


 小聖岳を過ぎた頃だろうか。今までの鉛色の空が突然割れるかのように青空が。その後一瞬で雲が吹き飛び空一面青空と太陽!あまりに突然の事に思わず3人で立ち止まってしまう。進む先には南アルプス南部の山々がその長大な稜線を伸ばしている。そしていつ以来だろうか、太陽の熱が雨具の上から降り注ぐ。そう忘れていた、今は夏だったんだ。
 雨でぬかるんだ登山道を下りながら3人で景色の写真を撮る。突然晴れた空はあまりにもまぶしく綺麗だった。そう、山はこんなに美しいのだ。聖平小屋手前の分岐で一息。久しぶりに雨具を脱いで太陽を浴びる。少し補給してラストは上河内岳を超えて茶臼小屋を目指す。

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晴れた上河内岳と久しぶりの青空を見つめる柏木選手と僕(米田選手提供)

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写真は全て米田選手提供

 南岳を過ぎたあたりで再び雨が。また雨かと思い雨具を着る。稜線に出ると風が強く寒い。2時間ほどで上河内岳の山頂直下を通過。米田選手は先に進み僕は柏木選手と進む。稜線をトラバース気味に下り、茶臼小屋手前ではかなり雨もひどくなってきた。

 19:20?
 茶臼小屋
 土砂降りの中茶臼小屋に到着。米田選手はかなり先だろうか?小屋の方が出てきてくれてお茶でも飲んでいきなと誘ってくれた。しかし時間外なので残念だがお断りする。小屋の方も残念がってくれた。TJARを応援してくれている茶臼小屋の方々の優しさがありがたかった。「また遊び来てよ」そういって僕らを見送ってくれた。

 畑薙まで急な下りを進まなければならない。しかし僕は脚の激痛でスピードは全く出ない。樺段を過ぎ、水飲み場を超えたところで柏木選手には先へ行ってもらった。

 ここからTJAR2014、僕の中で最悪の行程を進む事になる。

 水飲み場を過ぎて横窪沢小屋までは30分もかからないはずだ。しかしこの辺りから僕の頭はおかしくなっていたのだろうか。脚の痛みもあって全くペースが上がらない中、眠気と共に強烈なマイナスイメージが僕に襲ってきた。人間の悪意、敵意、憎悪・・・。そういった悪い感情がそこら中から湧いてくるように僕の頭に入ってくる。振り払うように進むが絡み付くような悪い感情が僕の足を何度も止める。幻聴が耳元で「お前のせいだ!」と何度も叫ぶ。看板の幻覚が何度も現れてはコースを外れてしまう。あまりの眠気で立ったまま寝てしまうがヘッドライトに寄ってくる虫に起こされては再び歩き出す。途中頭のおかしくなった僕は何度も大声で叫び、自分を奮い立たせながら延々と続くような下りを進んだ。

 どれだけ下っただろうか。ふと我に返ると少し下に明かりが見えた。直感的に幻覚ではないとわかる。柏木選手のヘッドライトだった。横窪沢小屋に着いたのだ。どれだけ時間がかかったのだろう。コースタイムの3倍以上かかった気がする。柏木選手と話して僕はまだ正常なんだと安心した。小屋の玄関にはメッセージペーパーが貼ってあった。通過した各選手がここにメッセージを書いている。最上段には望月選手の「大浜海岸で待ってます 将悟」の力強いメッセージ。米田選手も無事通過しているようで、「安全第一、絶対完走」のメッセージが。僕も「絶対完走、完全燃焼」と書き込んだ。畑薙ダムまではあと半分の行程。小屋の方が出てきてくださり、「安全第一だよ。絶対に無事で帰るんだ」としっかり握手してくれた。
少し涙が出そうになるがぐっとこらえる。小屋の方の見送りを受けて雨の中再び先を目指す。柏木選手はすぐに見えなくなった。

 足の激痛は痛みどめを貫通して芯にまで響く。だけどこんなところで終われない。何としても下まで降りるんだ。長い長い下りが再び始まった。

 8日目へ

 日々練成
 

 
[ 2014/08/29 17:11 ] 2014TJAR | TB(0) | CM(2)

みさごさん、こんばんわ。

荒川小屋のカレー、美味しかったんですね。。。青レンジャーも頼めばよかったです。。。そして荒川小屋のご主人はいつもニコニコされていらっしゃって、心が和みますね。大変優しくして頂き、次はこちらに泊まってみたいな~と思いました。

聖岳を過ぎたあたりから青空が見えたようですが、青空は長く続かなかったんですね。。。本当にほぼ雨の大会でしたね。

茶臼小屋を過ぎたあたりからかなり辛い行程になられたようで。。。TJARに出場された方にしかわからない壮絶な苦しみですね。。。
[ 2014/08/29 21:48 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 青レンジャー さん

 いつもありがとうございます。
 荒川小屋の食事は有名みたいですね。ご主人の優しさと心遣い、本当に感謝です。

 今回は雨雨&雨でしたね。大会史上最もも条件が悪かったかもしれません。でも条件は全ての選手に平等なのでそれにどう対処していくかがやはり選手の力量だと思います。反省反省です。
[ 2014/08/31 18:38 ] [ 編集 ]

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